仕事力

心に響く自己啓発

「ひよっこ社労士のヒナコ」を読んで

書名:ひよっこ社労士のヒナコ

著者:水生大海(みずき ひろみ)

出版社:文春文庫

出版年:2019年

 

書名にある「社労士」とは、社会保険労務士(国家資格)の略称で、社会保険や年金、労務管理雇用調整助成金などの手続きをする専門家です。主人公の女性は大学を卒業しましたが、正社員として働くことができませんでした。派遣社員として人事・労務の仕事をしつつ、3年かけて社労士試験に合格しました。そしてようやく彼女は、小規模な社労士事務所に就職し、顧問先の労務問題を担当していきます。

以前、労働基準監督官が活躍する小説、「労働Gメンが来る!」を拝読しました。労働基準監督官は、行政機関としての権限や司法機関としての強制力を持っています。一方、社労士は顧問先から顧問料をいただきながら、顧問先に寄り添いつつ労務に関する手続きやアドバイスを行うことしかできません。

また、弁護士と比較すると、弁護士は顧問先の側に立って法的措置や示談交渉などの対応をするのに対し、社労士は労務コンプライアンスを顧問先にアドバイスしていくのにすぎません。だから、社労士にとって良いお客様は、知識は乏しいけれども労務コンプライアンスを進めていきたいと志向する企業だと考えられます。

企業にとっては、営業や製造、研究開発などがメインの業務であり、労務管理は間接部門の一つの業務にすぎません。それだけに労務管理を自社でやらず社労士に委ねるというのも、得策と言えるかなと思います。

小説では、顧問先にとんでもないパワハラ社員がいたり、育児休業制度は理想であって現実的ではないと言う経営者が出てきたり、自殺が疑われる事件が発生したり、労災隠しのような事案が発生したりします。これらがとてもリアルに表現されており、主人公や社労士事務所にとって悩ましい問題となります。

また、主人公のアドバイスに応じず顧問契約を解除する企業が出てきたり、主人公の努力によって新規顧問先を獲得できたりと、社労士事務所経営として見てもリアリティがある物語になっています。

僕は労務管理を得意分野の一つにしているだけに、悩ましい物語だなと感じながら読み進めました。落とし所はどこかと考えているうちに、各章ごとに思わぬどんでん返しがありました。

 

coco02hibi9.hateblo.jp