野村克也さんは、プロ野球では通算4球団の監督を務められ、5度のリーグ優勝、3度の日本一にチームを導かれました。パフォーマンスが低下した選手たちが再び活躍できるように指導され、「野村再生工場」とも言われています。
野村さんの著書「『問いかけ』からすべてはじまる」(詩想社新書 2020年)によりますと、成果が表れずやる気を失いかけている選手たちに、よく問いかけをなさった言葉があります。
「努力がすぐに報われると思っていないか?」
この言葉には、バックボーンがあります。
野村さんがプロ野球に入って1年目のとき、二軍宿舎には小さな庭がありました。そこが二軍選手たちの自己練習に活用されていました。広くない庭で野村さんも含めて毎晩、交替で素振りの練習をしていました。
しかし、この庭が込み合うのは、キャンプ最初の2月だけでした。3月になると練習する人が減りはじめ、4月にはとうとう自己練習しているのは野村さん一人になりました。素振りの自己練習をしなくなった選手の多くは、早々に球界から去っていきました。素振りという努力だけでも、なかなか続かないものなのです。
野村さんは素振りの自己練習を続けてプロ入り2年目の秋、ようやく打撃練習で飛距離が伸びました。7~8割の確率でオーバーフェンスするほどになっていました。自分の成長を大いに感じたそうです。
何日間か素振りの練習をしただけで、ヒットが打てないとあきらめてしまう人が多いのです。努力に即効性がないのに、人はどこかで努力の効果がすぐ表れると期待してしまっています。「結果が出るのは、まだまだ先だ」と自分に言い聞かせるべきだと、野村さんはアドバイスを述べられています。
仕事などでもなかなか成果があがらないとき、「努力がすぐに報われると思っていないか?」と自問自答してみることが望ましい、良い問いかけだと、僕は思います。努力に即効性はありません。